宇宙における迅速な機動性の実現に向けて:Portal Space Systemsへの投資
Written byRayfe Gaspar-Asaoka & Tom Gillespie
宇宙には、いま「機動性」の課題があります。
宇宙へ到達すること自体が問題なのではありません。そこについては、私たちはすでにかなりの部分を解決してきました。打ち上げコストは大きく低下し、ライドシェア打ち上げは一般化し、新たな衛星は毎週のように軌道へ投入されています。真のボトルネックは、その先にあります。すなわち、衛星がいったん軌道に到達した後の運用です。
衛星は軌道に乗った瞬間から、相対的に自由に動かしにくい存在になります。私たちが別のブログに書いた通り、宇宙空間はますます競争的で、緊張の高い領域になりつつあります。衛星は追跡され、妨害され、場合によっては攻撃対象となる可能性すらあります。動かせない衛星は、防護することも、再配置することも、新たな任務に迅速に振り向けることもできません。
これからの宇宙運用に求められるのは、アセットを迅速に再配置し、危険から退避させ、刻々と変化する状況に対して数週間ではなく数時間単位で対応できる能力です。化学推進は強力である一方、燃料消費が大きい。電気推進は信頼性に優れる一方、速度が遅く、軌道領域をまたぐ移動に数か月を要することもあります。宇宙における主要な2つの移動手段のあいだには、明確なギャップがあります。しかし、それを埋めることは技術的に容易ではありません。
Portal Space Systemsは、まさにこの課題に挑んでいる会社です。対象となるのは、レジリエントで機動的な衛星運用を必要とする政府顧客であり、同時に、今まさに立ち上がりつつある商業ユースケース ― 衛星サービス、コンステレーション管理、デブリ除去 ― にも対応しています。
私たちはJeff Thornburgを数年来知っていますが、この市場のギャップを埋める創業者として、これ以上ふさわしい人物を思い浮かべるのは難しいと感じています。JeffはSpaceXにおいてRaptorエンジンプログラムの立ち上げに中核的な役割を果たし、その後もAmazonおよびStratolaunchで推進・宇宙関連プログラムを率いてきました。そのうえでPortalを創業しています。
深い専門性に加えて、私たちが高く評価したのは、JeffとチームがPortal創業後の最初の数年間を、徹底して顧客と向き合うことに費やした点です。彼らは実際の要求を深く理解し、契約を獲得し、ハードウェアを着実に実証してきました。シリーズAの時点で、彼らはすでに、事業機会の見極めと、それに即したプロダクト構築という最も難しい仕事の多くをやり遂げていました。
これは極めて特別なチームです。Jeffは、推進技術と組織づくりの両面において、真に希少な深みを備えています。共同創業者のIan Vorbachは、商業面とオペレーション面の双方にまたがるスキルセットを持ち、共同創業者のPrashaanth Ravindranは、基礎物理を実際の飛行ハードウェアへと落とし込むためのシステムエンジニアリング経験を有しています。
Mini-Novaはすでに軌道上にあります。Starburstプロダクトラインは今年後半にSpaceX Transporterミッションで打ち上げ予定であり、その後を追うかたちでSupernovaラインも続く見込みです。さらに同社は、量産開始に向けた施設とチーム体制もすでに整えています。
GeodesicのAlliance Fundでは、米国と同盟国である日本の双方にとって重要な、ディープテックおよび国家安全保障領域の能力を築くアーリーステージの創業者に投資しています。私たちは、宇宙アセットを異なる軌道領域のあいだで迅速かつ意図的に移動させる能力、すなわちダイナミックな宇宙運用こそ、今後10年にわたり同盟国政府が確実に獲得すべき重要な能力であると考えています。
このたびMach33とともにPortalのシリーズAを共同リードできることを、大変誇りに思います。そして、Jeff、Ian、PrashaanthをはじめとするPortalチームの皆さんが、このミッションに私たちを迎え入れてくださったことに深く感謝しています。
PortalのシリーズA調達に関する発表はこちらをご覧ください。
Portal Space Systems Raises $50 Million Series A to Advance Rapidly Maneuverable Spacecraft Capabilities